2010-63
11月が待ちきれず、井土紀州新作の試写会Twitter招待に申し込み一足先に観てきた。
インディペンデントに拘る井土紀州の旧作と新作三本を連続上映する映画一揆。
-今ある星座をぶっこわせ わたしは自分で星座をつくる-
新作一作目は、日本映画学校俳優科2009年卒業制作として作られた「犀の角」。
オウムを思わせる新興宗教の信者の少女と、彼らを追い出そうとする町に住む少年の淡い恋の物語。少女のことをホーリーネームでしか呼べない少年のもどかしさが痛く苦しい。
少女は少年のもとにも信仰にも残らず、最後は家に戻ることを決めるのかと思ってみていた。そこで彼女は再び本当の名前に向き合うのかと。けど主人公の二人の物語と真摯に向き合うと、あの結末に落ち着くのも分かる。お互い孤独なままの別れ。
あの二人が、そして少年の同級生達が、あの事件の後どうやって生きていくのか。とか、肯定するにせよ否定するにせよ信仰から逃れられない吉岡睦雄演じる男の過去など登場人物それぞれの物語を想像するのも楽しい映画でもあった。
タイトルの由来となる仏陀 スッタニパータの中の一節。「交わりをなせば、愛情が生まれる。愛情が生まれれば、苦悩が生まれる。愛情から、苦悩が生まれるのを見て、修行者たるもの、犀の角の如く独り歩め。」