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ピンク学校1時限目 大和屋竺劇場

2009-18,19

なんだかんだで前半戦は全然行けなかったピンク学校。平日の日中帯なんて勤勉な日本のサラリーマンには無理!土日の日中帯も家庭持ちには難しい。個人的には、この手の特集はレイトで長くやってもらえると嬉しいんだけど。。

だが、今夜の授業を受けないわけにはいかない!と3/9 19:15からの回に出かけてまいりました。19時丁度開始だときついけど、この15分が嬉しい。

上映時間ギリギリに着くと、予想以上の入り。2/3は埋まってたんじゃないかな。そんで、予想通り女性客も多かった。こんな機会じゃないと見れないもんね。いいことだ。

その見逃せないプログラムとは大和屋竺脚本作2本立。

自分の嗜好と志向に影響をうけた原体験の一つに、1971年10才のときアニメ「ルパン三世」との出会いがある。今じゃ国民的知名度を持つアニメ番組だけど、当時は「ルパン三世」がどんなものか全然知らずに、日曜夜のアニメ新番組として出会ってしまったのだ。そして、それまでの子供向けアニメとはまるっきり違う、まるで映画のような世界の虜になってしまった。下敷きなど文具類をルパンのキャラクターグッズに変えたくらい。けど、僕の盛り上がりとは逆に同級生たちの評判はあまり良くなかったけどね。

後に、ルパンの中でも印象深い「魔術師と呼ばれた男」の脚本が大和屋竺だったと知り、そういうことだったのか納得することになる。あのとき刷り込まれてしまったんだと。

出会いから40年近い時が過ぎた今も、こうして大和屋ワールドを地下の暗闇で楽しめる幸せよ。

1本目は「濡れ牡丹 五悪人暴行篇」(1970)監督:梅沢薫。

見れて良かった!

大和屋のライフワークともいえる「殺し屋」の物語。敵対する二つのギャング団の麻薬の取引現場を襲撃し、金と薬の両方を手に入れた唖の殺し屋クロ(大和屋本人が演じている)。しかしたまたま現場に居合わせた少女と共に金も薬も消えてしまう。残されたのは少女が弾いていた白いギター。少女の行方を追うクロ、クロの行方を追うギャング団たち・・というありがちなストーリーを軸に、全くありがちじゃない出演者たち(港雄一や山本昌平などお馴染みの面子)が悪夢のようなエピソードを交えながら複雑に絡み合う大和屋節を堪能できる映画だった。特にラストシーンの鳴り止まぬギターのせつなさ。

唖の殺し屋と唖の娼婦のマジワリをタンスの上から見ている精神薄弱の情夫なんて、いまじゃ絶対NGのようなシーンや赤みがかったパートカラーも気分。クールでモダンな雰囲気から突然「アラエッサッサー」になっちゃう落差も含め大和屋なんだろうなー。

休憩を挟み2本目は「(秘)湯の町 夜のひとで」(1970)監督:渡辺護

主演女優の名前が大月麗子w!いいなー、このバッタモン感覚。

渡辺監督がサイレント時代の映画人への憧れを大和屋に語ったことをきっかけに書き上げてきたという人情物語。一文無しになり地方の温泉町に流れ着いたエロ事師三人組の栄枯衰退を通し「映画」への想いを描いた作品となっている。

「生涯一の傑作」と力を入れたブルーフィルム撮影シーンは、何ともいえぬ幸福感に包まれ見ておりました。山の緑、空の青さ、犯される娘の肌の白さ、パートカラーが効いているだなー。

けど、後半の転落が、、全く救いのない展開に、たまらん気分で見終わることになるとは。あまりのせつなさに泣きたくなったよ。

出会ったほぼ同じ頃に、こんな映画を作ってた人が関わったアニメ見てたんだから、そりゃ無垢な子供心には刷り込まれちゃうよなー。

なんて思いながら今から40年近くも昔のアングラでモノクロのピンク映画を見終えて、地上にでると21世紀の青山で、ちょうど青山劇場の嵐・相葉雅紀主演の舞台が終わった時間と重なって駅への道が若い女の子に怖いくらいに埋め尽くされていて、そのギャップに不思議な気分になったよ。


※この2本は、11日(水)19:15からも上映されるんで興味を持った方は是非。
by runcomeplus | 2009-03-10 18:09 | 映画部
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