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SR サイタマノラッパー

2009-28

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映画の日2本目は、「SR サイタマノラッパー」。埼玉県北部の町に住むラッパー志望青年の青春物語。予告編見たときから気になってた映画だけど、テーマ曲のポップさ加減に今時のJ-RAPのような人生応援映画だったらどうしようという不安もなきにしもあらずだったが、まずは見るべし。

監督の入江悠氏は、今年30才。さんぴんCAMPを野音で見てるそうなので当時17,8才くらい?ヒップホップをちゃんと知ってる監督の映画だけに期待も大でした。

んで、見た結果、予想以上にビターな物語で期待以上に面白かった。「夢と挫折」を描いた映画のように見えるけど、負け続けのダメな男がようやくスタートにつくまでを描いた映画。起承転結ではなく起承転起で終わる映画。だと解釈しました。

ニートでデブで気弱なラッパーと冴えない友人、調子だけがいい後輩三人組が主人公。彼ら含め出演者のキャラ設定が見事で、出てくる奴全員「いるいる」と言いたくなるリアリティ。田舎で都会の文化に被れちゃったオトコンコのダサくてダメな滑稽さを見事に描いてるんだけど、その眼差しが優しいから、笑ったり泣いたり出来るいい映画でした。住んでる町、着てる服こそ違え、昔の自分を見てるみたいな居心地の悪さもずっと感じちゃうんだけどね。

んでんで、そんな内容ならヒップホップじゃなくてロックでもいいんだけど、最後にヒップホップじゃなきゃ絶対表現できない場面が用意してあり、流石だなーと。まさか、あんなダサダサのシチュエーションでのフリースタイルバトルに胸熱くされるとは。このラストと前半の山場、地元で頑張る若者代表として役所のオトナ達の前でラップするクダリは必見!東京公開3日金曜日までだけど、ヒップホップにやられちゃったマイメン全員に見てもらいたい映画ですぞ!

名古屋では4日から上映なんで、EJはマストですよ!



■リリック書くのに新聞広げ借り物の言葉でしか「社会的メッセージ」書けなくて、トラックに合わせて「オッパイイッパイ」を繰り返すだけというラップはしたいが「表現」したいことがないダメな主人公が最後の最後で自分の言葉でリアルなフリースタイル展開するんだけど、その言葉に友人が正面から向き合わず背中で受け止めフリースタイルで返すという構図がよかったなー。さらにその周りをヒップホップに全然興味の無いオトナたちで囲ませてウェットで感動的なシーンにしなかった匙加減。

■(片思いの)みひろが再び東京に出て行くシーンで「今度飯でも一緒に行こうな」と的違いなことしかいえない主人公のダメさ、みひろの置かれた状況、無邪気な田舎の悪意を関係のない男子高校生のしぐさだけで表してみせるとこも好きなシーン。

■オトナたちとの対比を役所のシーンで表現し、必要以上に親を出さなかったのも正解かと。

■この映画見たらみひろのAVが見たくなってしょうがないんだけど、ナントカしてください!

■全てワンシーンワンカットで取り、暗転で繋ぐ構成は意欲は分かるが消化不良のとこもあったかなー。

■けど、次回作がとてもとても楽しみになるいい映画でした。去年の「バカバカンス」に続くシンパシー感じる青春ものの佳作だった。

■↓なミラクルな映像撮れちゃう運もスゴイと思う。


by runcomeplus | 2009-04-02 15:50 | 映画部
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